~おおさかひがし リレーエッセイ 第5走者~
東成の誰もが心豊かに働き生きる社会の実現を
児童発達支援・放課後デイサービス なちゅらるの岸上さんよりバトンを受け、今回紙面を任されました一般社団法人 社会福祉学び支援協会:障がい者就労移行支援事業所・スリーピース今里の瀧川と申します。
スリーピース今里は平成28年7月に大阪市指定を受け、同年8月にうつ・発達障害等メンタル不調者専門の就労移行支援事業所として開所致しました。本年8月で丸2年を迎え、現在ご利用契約者約25名(18歳から64歳まで)で、1日平均12~20名が輝く未来に向かって訓練をしています。就労移行支援サービスとは、原則24カ月(2年)の期間利用ができ、企業等で働きたい障害のある方に対して、働くために必要な知識と能力を高める場所です。具体的には、以下のような支援・訓練を通して就労支援を行います。例えば、履歴書や応募書類の書き方、模擬面接、就職に関する相談、求職活動支援、ご本人の適性に合った職場探しやアドバイス、企業における職場実習などの機会の提供、就職後の定着支援など様々です。また必ず就労意欲があることが条件で、18歳以上65歳未満の障害や難病のある方が対象者です。以上が就労移行支援サービスの簡単な概要となります。
さて、スリーピースグループの理念「折れない自信とより良いサービスを提供し“働きたい”を確かなカタチに生きる喜びを支援します」を私たちは常に意識し、支援する際の判断基準にしています。大阪市内には就労支援を行う同様の事業所は数百か所存在している中、私たちが理想とする事業所像は、もし自分が当事者だったらスリーピースに来たい!と思えるものです。ですから、常に利用者がここに来る目的は何か?その為に私たちは何を提供できるか?本当にそれは効果的な方法か?もっと良いものがあれば常に改善し、やってみる!ということを心掛けています。その事を積み重ねた結果、次のようなとっても素敵なサービスを提供できるようになりました。①より良い人間関係の心理学で自信が身につく②豊富な職場体験で短期間で就職も目指せる③必ず資格取得できる試験免除制度で就活対策できる の大きな3つです。
その中でも最も力を入れているのが①のより良い人間関係の心理学講座です。社会復帰した後も、誰もがその後の就労継続に不安を抱きます。ある研究機関調査で、職場のメンタル不調になる主な原因として、仕事そのものへの悩み以上に職場の上司や同僚との人間関係の問題が最も多いと報告されています。私たちが考える長期就労へのカギは、精神の自立です。その目的に最も効果的である良好な人間関係を構築する「選択理論心理学講座」を定期的に開催しています。この考えが身に付くと、例えばうつ状態に陥りそうになっても、自分自身で変えられるものと変えられないものを区別ができるようになり、自分の理想の姿に対して今やっていることが効果的かどうか?の自己評価し、効果的でなければ思考を切り替え、効果的な行動を選択できるようになります。このようなセルフケアが行えるようになり、折れない自信がいつの間にか手に入ります。そうなれば就労してもうつに陥らずに長期就労が期待できるのです。
このような支援を約2年以上続けてきた証として、7名の就職者が誕生、そしてその誰もが定着しています。このような傾向をみても分かる通り、資格やPCスキルを磨くことも大切な要素ですが、最も重要な精神の自立=折れない自信をもつことが長期就労へ繋がっていると言えるのではないでしょうか。私たちはこれから、このスリーピース今里の経験やノウハウをもとに、中小企業の従業者向け「うつ予防対策研修」を行っていきます。メンタル不調で働けない方々には就労支援を、また職場からメンタル不調者を出さないという一貫した考えを未来予想図に描いています。それこそが事業を運営する母体である社会福祉学び支援協会の理念「誰もが心豊かに働き生きる社会の実現をめざす」へ繋がるからです。私自身も東成区で暮らして約20年、お世話になった地域の方々に事業を通してご恩を返し、東成区から誕生した事業所が、世の中で悩んでいる方、働けずにいる方、生きる希望が見出せない方々に良質な情報を提供し、日本全国の“誰もが心豊かに働き生きる社会への実現”に繋がれば私も嬉しいです。
一般社団法人 社会福祉学び支援協会
うつ・発達障害等メンタル不調者専門 スリーピース今里
専務理事・施設長 瀧川 昇三