通信No.57 ~おおさかひがし リレーエッセイ
中本地域の三枝さんからバトンを受け取りました、東成区まちづくりセンター支援員の岩﨑です。
東成区まちづくりセンターは、東成区内の各小学校下に1つずつある、「地域活動協議会」の自立へ向けたお手伝いをしている団体です。(地域活動協議会って何?と思われた方、次のページにイメージ図を載せておりますので、ご覧下さい~)
私がこちらに着任したのは3年前の4月ですが、それまでは児童福祉分野でずっと働いていました。私が勤めていた児童養護施設では、2才~18才までの様々な理由で家庭で暮らせなくなった子どもたちが、集団で生活しています。職員1人ずつ担当の子どもが決まっていて、その子ども達のお父さん・お母さん代わりになり、更に毎日全ての職員が出勤する訳にはいきませんので、男児フロア、女児フロア別でそれぞれ30人ほどの子どもを2人以上の職員で基本的にはみる体制(施設によって若干違います)で動いていました。職員数が圧倒的に足りず、一般家庭と比べて慢性的な愛情不足の中で、職員がどれだけ熱い気持ちで頑張っても限界があります。次第に私の中で、そもそも子ども達が家庭で暮らしていけないのはなぜかという方向に気持ちが向いていきました。
児童養護施設で子ども達が暮らし始める理由はさまざまですが、現在は虐待が理由のケースが圧倒的に増えています。今思うと恥ずかしい話ですが、勤め始めた当初は虐待をするのは親自身が未熟で、自分勝手だったり我慢がきかないからだと勘違いしていました。しかし、職員として実際に子ども達の親御さんと接したり、研修などで勉強をさせていただく中で、それだけが理由ではなく、親が孤立してしまった結果、虐待に結びついていくケースがとても多いことに気づかされました。血縁者だけでなんとかするのは実際難しい。親子が住む地域がもっと良い意味のおせっかいで(?)温かい地域になれば、そもそも施設で暮らす必要のない子どもが増えるのでは?その為にはどうしたら良いんだろう?そんな思いから、現在の職場にたどりつきました。
まちづくりセンターの仕事自体は、行政からの補助金を活用して地域の活動を行っている地域活動協議会のお手伝いなので、分野を問わず、地域で行われている事業全般に関わります。そのお陰で、地域というものの様々な側面が見え、現在は子どもを取り巻く環境なら児童分野だけで解決、などということではなく、高齢者・障害者など様々な分野が、影響しあっていること、むしろ包含的にみて底上げしていく方が、結果的には様々な課題解決の近道なのではないかと思うようになりました。
東成区は、全体的に下町の雰囲気があり、近年希薄になりつつある人と人との絆が強く残っている地域です。標語になっている訳ではないのに、「子ども達は地域の宝」と区内の色々な場所で同じような言葉を耳にするのには驚きました。また、沢山の人が、みんなが居心地よくいられる地域にしたい、居場所をつくりたいと、それぞれの人生経験を元にした多様なジャンルで活動しており、規模の大小問わずどれもあるから結果的に多くの人が助かっている気がします。
地域活動はどちらがすごいという競争ではないし、私が現在関わらせていただいているのは、少なくとも自分以外の人たちの為に動いてもいいという、共通の心を持つ方々の集まりだとしみじみ感じます。個人や各団体の活動に向けた思いを大切にしながら、今は点で行っている活動を線につなげ、更に面に広げていけたら。東成区まちづくりセンターとして、そのためのつながりをつくるお手伝いをさせていただけたら嬉しいです。
最後に、今回ご紹介いただいたおおさかひがしさん、私が大学生の頃に地元(東京都立川市)でアルバイトしていたCIL(自立生活センター)と繋がりがあると聞きビックリ!ご縁を感じました。これからもよろしくお願いします。