2018年度第1回自立セミナー報告
「一寸先はサバイバル!」~防災・減災、今すぐできること~
今年度、おおさかひがしでは湯井恵美子さん(元吹田支援学校PTA会長、防災士)による防災・減災についての研修を2回行いました。
1回目は事業所内部で、最小限の防災知識とスタッフ間での共通認識をもつために、グループワーク形式で行いました。①事前の準備、②発生直後の対応、③避難所運営、④地域との共働、のカテゴリに分けて、おおさかひがしが避難所として存在するという前提で、それぞれの場面で何が必要か、意見を出し合いました。実際に災害が起きるタイミングによって、平日なのか、昼間なのか夜なのか、によっても対応の方法は違うなぁという意見、どの場面においても、少しでもスタッフ間の連携がとれるよう、具体的に話し合っておくことが大切だという認識をもちました。
2回目の研修として、東成区在宅サービスセンターにて、表題👆の公開セミナーを行いました。当日は、ヘルパーさんや利用者さん、東成区内の支援機関など、スタッフやメンバーさんも合わせて25名が参加しました。5つのグループに分かれて、前半は湯井さんよりお話、後半はワールドカフェ方式★でのグループワークを行いました。
まず、南海トラフ地震が怖い理由について。地球内部の成り立ちから、プレートの移動はとめられない。プレート境界の地震には津波が伴う。関東から九州で広い範囲が被災し、支援が分散される。北から南への移動ルートが少ない。住宅耐震、木造密集地解消が進まない。沿岸部の病院、学校、福祉施設の移転が進まない、などがあげられます。東日本大震災を始めこれまでの災害で、要援護者(支援を必要とする人)は一般の避難所には滞在が難しかったそうです。東日本大震災の現場で障害者たちは、大勢の人がごった返す一般の避難所に避難できませんでした。いったん避難しても、いくつも違う避難所へ移動、滞在するケースがありました。バリアフリーではなかったり、障害について詳しく知ってもらえないので、困っていることなどわかってもらえず、自宅や車中に無理やり避難しなければならなかったそうです。その中で求められるのが、福祉避難所や福祉避難スペースです。福祉避難所では、配慮が必要な人が相談し、助言や支援を受けることができること、必要な居室が可能な限り確保されているなど、スムーズな利用ができるための配慮がされています。通常の避難所、福祉施設、病院が連携し、要配慮者に必要なケアの程度に応じて受け入れ先を決めていきます。福祉施設や特別支援学校などは、災害が発生した直後から、福祉避難所の機能を求められています。
また、福祉避難スペースとは、通常の避難所の中に、福祉的ケアを提供できるスペース(部屋)があることです。専門性の高いサービスは必要ないけれど、避難生活に配慮が必要な人を対象としています。2016年の熊本地震では、大学が一般の住民と一緒に、近隣の障害者団体を受け入れ、「管理はしないが、配慮する」をモットーに要配慮者を「排除、隔離しない」福祉避難所を開設運営し、「熊本モデル」と言われています。
そもそも「避難」について、どのタイミングで避難するか。「要援護者の避難」には役割があります。①避難準備・高齢者等避難開始:避難に時間を要する人(高齢者、障害者、乳幼児等)とその支援者は避難を開始、その他の人は避難の準備を行う。ご近所に避難することを伝える。早めの避難の呼びかけ、「率先避難者」としての役割があります。②避難勧告:人的被害の発生が高まった状況で、通常の避難ができる人は速やかに避難を開始する。外出することでかえって命に危険が及ぶような状況では、近くの安全な場所への避難や、自宅内のより安全な場所に避難する。③避難指示(緊急):人的被害の発生が非常に高まった状態で、避難中の住民は周囲の状況を見ながら避難行動を完了させる。命を守る最低限の行動を開始。(垂直避難など)←ここまで待ってはいけません!そして、慣れない避難生活の中で、少しでも安心できるよう、「あんしん箱」のすすめがありました。私たち一人ひとりが、緊急時に必要なものを入れた「あんしん箱」を持ちましょう。目安としては、3日間の入院グッズといった感じです。薬、着替え、タオル、眼鏡やコンタクト、水、アメ、お菓子、好きなもの、家族の写真等。この先の不安や心配で押しつぶされそうな時、好きな食べ物や身体と心が温まる食べ物、お気に入りのグッズなどがあることで、少し落ち着いてすごせるかもしれません。そういったものは、自宅だけでなく通所先や施設にも置かせてもらいましょう。 「個人備蓄はわが子お守り袋。」障害のある子をもつ親の一人として、湯井さんはおっしゃいました。今まで苦労して息子を育ててきた。そんな苦労して愛情をかけて育てた息子を、一瞬で奪われたくはない。こんな災害なんかで、失いたくはないと。近い将来必ず来る南海トラフ地震、その他の災害に、できる準備をしておくことがどれだけ大切か。かみしめるようにおっしゃったその言葉掻き立てられて、私たちの「準備」はまだまだですが、できる所から取りかかっているところです。明日起きるかもしれない大災害に、少しでも多くの備えができるように、それぞれが何か一つでも、行動に移していきましょう! (報告者:神田)